私は大学教員である。大学はICUで、大学卒業は博士号を取得し、現在20数名の学生やスタッフがいる研究室を主宰している。
さぞかし子供の頃は勉強が好きで、本の虫だったのだろうと思うかもしれない。
それは間違いである。
本が大っ嫌いだった。
中学、高校なんて読書感想文の宿題のために本を読んだだけだと思う。読書感想文を書くために、芥川龍之介は何作も読んだ。
なぜかというと、短編が多いからである。短いと怒られそうだが、芥川龍之介ならば怒られないだろうという計算である。我ながら見事な作戦であったと思う。
なぜ嫌いだったかというと、「親が薦めてきた本がつまらなかった」ことも理由の1つである。そして、なぜ薦めてきた本がつまらなかったかというと、「ぜんぜん本を読まない親だった」からである。
家で本を読んでいる姿は見たことがなく、テレビばかりみていた。本を読む習慣がないようであった。なので、当然自分では面白い本がわからないので、「夏目漱石」とか「川端康成」とかの本を薦めてきた。
大人だったら味があって面白いと思うかもしれないが、正直子供が読んで面白いと思うはずがない。
少しは頑張って読んだと思うが、これですっかり本が嫌いになった。
大学生になって、たまたま面白い小説を読んで「あれ、本って面白いものなんだ!?」と知ったのである。それ以来は本が好きになった。
そして、テストの点数を上げるために本を読めなんていうのは間違いである。テストの点数を上げたかったら、国語の参考書で国語の問題を解くべきである。極めて単純だ。
本当に子供に本を読ませたかったら、自分が読んで面白いと思わなければいけないと思う。
子供番組なんか見ていても、大人もそれなりに面白いと思うものには、同じく子供も食いつく。それと同じである。
大人だから、仕事で忙しいからという言い訳はせずに、自分が面白いと思う本を子供に薦めるべきである。
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